3.ダルトンハイウェイを行く

北極海への唯一の陸路

アラスカ北極圏には、基本的に道は通じていない。
唯一の道と言えば、プルドーベイ油田から続くパイプラインの建設、保全の為に作られた、ダルトンハイウェイである。
後で役人から聞いた話だが、当時、未だに日本人が通ったことはなかったらしい。

当然ながら、舗装などされていない砂利道が、約700kmも続く。

当時はまだ一般開放されていなかったので、地元の人に聞いても「通れない」とのことだが、とりあえず近くまで行ってみることにした。

フェアバンクスで、「通ったことがある人がいる」という情報を入手。
ありがたいことに、わざわざその情報をくれた人が、通った本人に連絡してくれて、
その人によると、朝方になると監視員が寝ているため、ゲートを通り抜けできるとのことだ。

ゲート通過できるのか!?

ゲートの手前でキャンプをする。

監視員が寝ているうちに通過したいので、明日は2時起き。
ビールを飲んで、さっさと寝ることにする。

ちなみに、ガソリンが手に入るのかわからないので、振り分けバッグに予備タンクを入れて持参。
これで1000kmは走ることができる。

午前4時にゲートを通過する。
情報通り、詰所には誰もおらず、すんなり通過。

夏真っ盛りの8月なのに、やたら寒かったのは、
流石北極圏といったところだろうか。

延々と走りやすいダートが続く。

山岳地帯を抜け、木のないツンドラ地帯へ。
多くの池糖が見られる。

池塘の多さもさることながら、とにかく蚊が多い。

数が多いうえに、日本では見たことがないくらい大きいのだ。
3㎝くらいあるので、服を着ていようが、服の上からでも刺してくる。
あまりにも煩わしいので、蚊は熱に反応して寄ってくると聞いたので、休憩を3分に制限して長居しないようにする。
…が、そんなささやかな抵抗もむなしく、止まるとすぐに刺される。

道中、保守点検中の作業員に止められ、どこから来たかなどを聞かれる。
しかし、特に咎められることもなく、むしろスニッカーズを貰い、ガソリンスタンドの場所を教えてもらい、
「ナイストリップ!」と言って、笑顔で去っていった。

憧れの北極海

遂にダルトンハイウェイの終着点、プルドーベイに到着。

しかしここは石油基地、流石にその中に入ることは許されなかった。
さらには、昨日から大きなシロクマがこの辺りをウロウロしているらしい。
キャンプは危ないから、ガレージを貸してやるからそこで寝るように、とのこと。

翌朝、どうにかして北極海を拝むことはできないかと思い、石油基地の脇の道をウロウロ。
数時間走り回ったところで、突然開けた場所に出る。

遂に、北極海に辿り着く。
(細かいことを言うと、当時はGPSがなく、ここが北極海だという確証もない。しかし、後ろにある”水たまり”の水を舐めるとしょっぱいので、北極海だろう…)

さすがは北極海、ひたすらに寒い。
ありったけの服をすべて着ても、尚寒い。

数枚記念写真を撮ったのち、たまらず撤収。

アンカレッジに向かって

帰り、往路でスルーしたゲートに声をかけてみようと思い、立ち寄る。
既に他の係員に声をかけられているので、今更お咎めもないだろうと踏んでいたが、
案の定、怒られるどころか、コーヒーをご馳走になりながらお喋り。

このとき、
「アンカレッジに、面白い毛皮屋のオヤジがいるから、寄ってみるといいよ!」
といわれ、その人のアドレスをもらう。

その人との出会いは、僕にとって忘れられない思い出となるのであった。

デナリ国立公園

アンカレッジを目指して南下している途中、デナリ国立公園に寄る。
公園内のキャンプ場に泊まりながら、トレッキングを楽しむ。