16.アマゾン川、船の旅

ポルトベリョからボリビアへ抜けようと考えていたが、
なんとポルトベリョの先で、道路が無くなっているではないか。
仕方ないので、途中まで引き返して、
マナウスからベレンまで、5日かけて船で渡ることにした。

船内は、こんな感じにハンモックが吊るされている。
これが思いの外、快適で楽しかった。
改めて、アマゾン川のスケールの大きさを感じる船旅になった。

船は迷路のように複雑な支流を通り、ベレンに向けて進んでいく。

時々、地元の人がフルーツなどを売りに来る。
この時ボートを漕いでいる子供たちの、操船技術の高さに驚かされる。
自分だったら、船に近づいただけで、即「沈」していることだろう。

ハンモックに揺られながらスローな船旅を、ただのんびりと楽しんでいた。

…しかし、そう易々とは問屋が卸さなかった。
この船旅の、最初にして最大の難関は下船の時であった。

大型二輪の免許はもっているので、一応一本橋には自信があった。
しかし、バイクの積み下ろしで、
横幅50センチの木の板の上を、2メートル渡れと、実にハードな課題を言い渡される。
しかも、真下を流れるは、アマゾン川。
もし落ちたりしたら、まずバイクは助からないだろう。
そう考えると、試験の時より緊張した。

ハイパーインフレ

当時のブラジルでは、大統領が立て続けに変わっていた影響で、
慢性的なデフレに陥っていた。

その結果、デノミネーションを繰り返すことにより、
度々紙幣の価値が変動していた。
そのため、商店に行くと、訳のわからない量の釣銭を渡され、
当の受け取った本人も訳が分かっておらず、
最早それが合っているのか確認しようもない、意味不明な状況だった。

挙げ句の果てには、あまりにも紙幣を沢山渡されるので、
財布に入りきらずに、紙幣を入れる袋を買って持ち歩いていた。

最も多い時で、二袋分の札束を持っていた時もあった。
気分は大金持ちである。

昨日まで10,000クルゼーロだった紙幣が、翌日には10クルゼーロに、
ハンコひとつで変わってしまう。
なんとも大雑把な世界である。

コラム:お金について

僕が旅した30年前、北米では既にクレジットカード決済が可能だったが、
中南米では、まだ普及しておらず、使用できなかった。

なので、当時の現地通貨の入手には、トラベラーズチェックを使っていた。
旅行小切手とも呼ばれ、現金を持ち歩かなくてよいのでとても便利で良かった。
尚、今は日本での発行は行われていないらしい。

また、リスクはあるが、いわゆる「闇換金」にもお世話になった。
正規のレートよりも、だいぶいいレートで交換してくれるので、とてもありがたかった。

国境につくと、必ず闇屋が「チェンジマニー」といって近寄ってきたもの。
現地通貨やら米ドルやらを、ごちゃ混ぜにして渡すと、
闇屋の方も混乱して大儲けさせてもらったこともあれば、
こちらがボーっとしていたところに付け込まれて、だまくらかされたこともある。
いずれにしても、このやり取りが楽しくて、旅の楽しみでもあったのだが。

現在は、カードで引き出すのが一般的らしい。
時代は変わったものだなぁ、と。